2019年6月9日日曜日

【発達凸凹 Book#40】『自閉症という知性』



皆さん、愉しんでますか~?
凸凹フューチャーセンターのトシヤです。

発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『自閉症という知性』
池上英子=著/NHK出版新書

本書は、ニューヨーク在住の社会学者が、仮想世界でDJとして活躍するアメリカ人男性、マンガを描くことで自己理解を深める日本人女性など、他者とうまくコミュニケーションできない自閉症当事者を訪ね、彼ら彼女らの驚きの知性に迫った一冊になります。

書評


自閉症当事者は、他者とうまくコミュニケーションができないと思われがちです。
しかし、それは、インテリジェンスの形が多数派とは違うからであり、それぞれに個性的で内面に豊かな世界を抱えている人々がいるという事実を認識することは、社会全体にとってプラスになる、という指摘が印象的でした。

数々の自閉症当事者の知性に触れたことを、著者が「知性の多様性への旅」と表現していましたが、彼ら彼女らの世界観の豊かさの触れること自体を著者が愉しんでいたことが伺えますね。

著者が本書を通して、「『見え方・感じ方のマイノリティ』が、この世界を豊かにしてくれる」ということを伝えている気がして、勇気をもらえる人も多いのでは、とトシヤは感じました。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

ニューヨークに住むようになってから、ダイバーシティ( 多様性)という言葉が創造性とリンクしていることが、身にしみて感じられるようになった。(中略)ダイバーシティは、 創造性の拡大を目指す社会にとっては積極的価値でもある。

⇒☆日本でも、多様性(ダイバーシティ)という言葉が創造性とリンクすることを実感できる機会が増えればいいなと感じました♪

自閉症はコミュニケーションや社会的相互作用の障害と位置づけられている。つまり、人との交流が苦手な人が多い。 
したがって、社会学者が得意とするインタビューによる調査方法や、心理学者が行う環境をコントロールしたラボでの実験などは、当事者に余計な緊張を強いることになり、なかなか深い話をしてもらえない。

⇒☆確かに、トシヤ自身も心理検査を受ける際に過度に緊張した記憶があります^^;

当事者へのインタビューやエスノグラフィーで、 私が大事にし て いることがある。 
それは、彼らが、なるべく(1) その認知特性に合った自然でいられる環境において、(2) 自分らしい「言語」で、(3) 自分が大事だと思っていることを、(4) 自分のペースで時間をかけて語ってもらう、ということだ

⇒☆上記4点を定型発達・発達凸凹を問わず、すべての人が1日のどこかの時間帯で持てるようになれば素敵ですよね♪

デジタル3Dの世界を表現手段とし、自分の内部世界の地図を作り上げているラレの活動はユニークだった

⇒☆トシヤも、自分自身の内部世界の設計にユーモアをもたせようと思いました~♪

「どういうときに職場で難しいと思うの?」 「人間が一番難しいよ。お客や同僚、両方だね。いろんなことを一度に言われて、いっぱいいっぱいになってしまう」  
仮想世界ではあんなに一度にいろいろなことが臨機応変にできたのに、現実世界のマルチタスクは楽ではないと

⇒☆トシヤも共感してしまいました~

ラレさんは、その二つのモードの往還を厭わない。地味な仕事を規則正しく続けながらも、仮想世界に深く没入して創造的に生きることは、勇気がいることなのだ

⇒☆自分もこのように生きていきたいと思いました!

米国では、自閉症スペクトラムの子を持つ親たちの団体は、大きな組織と財政的基盤をもち、自閉症への関心と研究を広く社会に訴える力となってきた。 
しかし、そのなかで自閉症のわが子をなんとか「治癒」したいと熱望する親たちと、自閉症を「アイデンティティ」と捉える当事者本人たちとの立場の違いが、次第に明らかになってきたのだ。

⇒☆日本でも既に起こっている現象かもしれませんね。

まずは、社会的な交流の最中に感情的な負荷がかかりすぎてしまう場合。もう一つは、インプットされる感覚情報が過剰になり、そのために情報を処理しきれず感覚飽和になってしまい、自分のコントロールが不可能になってしまう場合だ。もちろん多くの場合、この両方が同時に起きる。

⇒☆パニック発作が起こる原因についての自己分析になりますが、トシヤも同じような経緯でパニックになることがあります。

定型者は、言葉そのものだけでなく、話し方や表情で話者の本当の意思を探るという、コミュニケーションの癖がついているから

⇒☆今更ながら(笑)、トシヤは「定型発達の人はそうなんだ!」とこの文章を読んで気づきました…

子どものときは大阪のおばちゃんのように、抑揚が大きく表情やジェスチャーも豊かに話す人が苦手で、こう言っていたという。 「その度に言い方や顔つきが変わるし、笑ったりしたら、目の下の影の濃さや顔のしわの長さが変わる。その情報を一つずつ処理せなあかんから、しんどいねん」

⇒☆トシヤも、大阪のおばちゃん的な人が実は苦手^^;

私の知性の多様性への旅のなかで、紗都さんという透明でまっすぐに伸びつつある知性に出会えたことは、私の心をあたたかくしてくれた。

⇒☆「知性の多様性への旅」というのは、素敵な表現ですよね♪

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