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2018年11月3日土曜日

【発達凸凹 Book#37】 『私たちは生きづらさを抱えている』




発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。
でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


私たちは生きづらさを抱えている
姫野桂=著・五十嵐良雄=監修/イースト・プレス

本書は、発達障害の特性による生き辛さをテーマに、発達障害当事者22人に取材を行い、彼らの生きづらさをリアルに洗い出した一冊になります。

また、書き下ろしとして、「自分も発達障害かも」と疑う著者が心療内科を受診し、検査を受ける体験も収録されています。

書評


発達障害専門の医師が発達障害の知識や特性を解説した書籍は多くありますが、本書のように多くの当事者(その数22名!)に取材を行い、当事者がそれぞれ抱える生きづらさをリアルに洗い出した書籍は珍しく、本書の貴重さを感じます。

本書のもう一つの特徴は、「自分も発達障害かも」と疑う著書が、心療内科を受診し、検査を受ける体験が詳細に書かれていることです。

診察での医師とのやり取りや心理検査の内容が詳しく書かれていて、「検査を受けるかどうか迷っている」「検査ではどんなことをするのか」と不安を感じている人にとって大いに参考になります。

また、「知っておきたい発達障害の基礎知識」というコーナーがあり、そこでは、発達障害の種類などといった基礎知識が簡潔にまとめられているのも有益だなと思いました。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

当事者の悩みで一番多かったのが、マルチタスクが苦手だったり、職場の人と良好なコミュニケーションが取れなかったりして、仕事が続かないこと。  
次いで、二次障害によるうつ病や睡眠障害、自律神経失調症、発達障害の特性により引き起こす可能性のあるギャンブル依存症や買い物依存症、性依存症などだった。 
体調が悪くて病院を受診したら、その体調不良は発達障害が引き起こした二次障害だと判明したケースも珍しくなかった。 
この本により、当事者の現状や本音が少しでも多くの人に誤解なく伝わり、生きづらさの緩和への道が開ければと思う。
(5ページ)
⇒☆二次障害のうつや睡眠障害は結構認知度が上がったと思いますが、ギャンブルや買い物、性への依存症が多いということはまだまだ認知症が低いように思います。

また、生きづらさの緩和への道を開くことに、当事者も定型発達の人も関われるような仕組みがあればいいですね。

周りが楽しそうにしていても、自分には何が面白いのかがわからない。自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っても、相手に響かない。そのようなズレは発達障害の人にしかわからない。
(42ページ)
⇒☆自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っていても、全然伝わってないことってありますよね。また、発達障害者同士でも、このようなズレが往々にしてあるように感じます。

グラフィック・ファシリテーションがそのズレを解消する一つの方法として認知されれば嬉しいですね♪

「私たちはお互い真逆の夫婦なんです」とショウタさんは語る。発達障害にはできることとできないことの差が激しいという特徴があるが、お互い真逆なおかげで、苦手な面を補い合って生活できているという。 (中略) 
入籍する前、半年間ほど同棲をして、お互い何が得意で何が苦手なのかを見る機会を作りました。そしてお互い得意・不得意をよく知ったうえで、今は暮らしています。 (中略) 
もちろんふたりとも共通して苦手なことはあります。片付けに関してはふたりとも苦手ですが、僕は体調を崩しちゃうくらい苦手なんですよ。そこは、程度を見てどちらがやるか決めています。
(66ページ)
⇒☆まずはお互いの得意・不得意をよく知る。そして苦手な面を補い合う。素敵な共同生活♪また、ふたりとも共通して苦手なことは、思い切って他の人に頼んだり外注したりしていくことも、持続可能な共同生活を送る上で大切かもと感じました。

今回の取材は「口下手なので、あらかじめ話す内容をまとめてきました」と、アユミさんはA4用紙10枚にも上る「自分史」を書いてきてくれた。 
その様子をショウタさんは「当事者自身が自分の障害を正しく理解することは重要。妻はすごいと思う。自分で理解することが周りに理解してもらう近道なのでは」と語っていた。
(70ページ)
⇒☆「自分史」を書けるということがまずすごいですよね!そしてそのことを素直に「すごい」と賞賛できるショウタさんも素晴らしいと思います♪

『必要なものだけ買いなさい』と言われても、私には全部必要なものに思えるんです。優先順位があいまいなんでしょうね。
(74ページ)
⇒☆衝動買いとか片付けができないというのも、「優先順位があいまい」という特性を抱えている人に多いのかもしれないですね。

ADHDの人はその衝動性からニコチンやアルコール、ギャンブルや性といった依存症に陥る確率が定型発達の人の2倍という研究結果が出ている。
(74ページ)
⇒☆このデータ自体がもっと多くの人に広まればと思いました。依存症に陥ったことを「自分の意志が弱いから」というように、必要以上に自分を責めることも、このデータを知ることで少なくなると感じます。

ADHDの特性のひとつである『ポップコーン現象』というものだと医師が言っていたのですが、頭を中でポップコーンが弾けるように、様々な考えが浮かんでいくんです。
(87ページ)
⇒☆いわゆる「脳内多動」という、ADHDの人によく見られる現象かも。それにしても、キャッチーなネーミングですね♪

自助会が合わないと感じた人や、発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集えたらいいなと。
(125ページ)
⇒☆「発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集える」のが発達障害BAR The BRATsだとしたら、「生きづらさを感じている人を含めた様々人が対話するために集える」のがOne day cafe.kyotoなのかもしれないなと思いました。

僕は「発達障害の自分はマイノリティだ」という意識がすごく苦手です。「私はマイノリティだから」、自らを社会から隔離してしまっているような。 
そういう側面が、このマイノリティという概念をブラックボックス化しているように感じるからです。 
マイノリティに見られるように自らパフォーマティブに振る舞うことで、二重の共犯関係が生まれているのではないでしょうか。
(129ページ)
⇒☆「自分はマイノリティかどうか」ではなく、「相手も私も違う一人の人間である」という多様性の観点から始めていくことが大切かもと思いました。

ちょっと言葉遊びになってしまいますが、体験と経験をきちんと区分けすることは重要かなと。体験を自分のなかに組み込まないと経験にならないと思うんです。 
だから、体験だけを積み重ねている人は成長しないと思います。体験をいかに経験にするか、です。 
自分のなかに体験を入れていって、言語化していくなかで他人との共通点を見つけられる状態が経験だからね。
(142ページ)
⇒☆何かを体験した後にその体験を自分自身の中でRethinkする、もしくは他の人と語る。そこで得られた気づきを言語化していくことで体験を経験にできるんじゃないかなと思いました。

そういう意味で、One day cafe.kyotoでの「対話の場」は、「体験を経験にする」ステージの一つかもしれませんね♪

僕のなかでは社会が受け皿を作るというより、もっと主体的に「自分の特性はこうだ」と示して、自分で作っていくものかなと思う。 
そのなかで受け入れられるためには「お互いこういう努力をしましょう」と交渉をしますし、その上で相手が望むパフォーマンス以上のものを提示すれば、リターンは確実に来ますから。 
そうやって自分の場所を僕は守っているつもりです。
(144ページ)
⇒☆社会に受け皿を要求するのではなく、まずは自分で作っていく。そしてできれば他の人と一緒に作り上げること、その作り上げる過程を一緒に愉しむということができたら素敵ですね♪

今、定型発達の人は「君たちは扱いづらい」、発達障害人は「もっと配慮して」と言う、お互いにドッジボールをしているんですよね
(146ページ)
⇒☆この「お互いにドッジボールしている」っていう指摘、すごく納得しました。少なくともOne day cafe.kyotoでは、定型発達・発達障害を問わず多くの人が、ドッジボールではなく、「キャッチボール」を対話を通じて愉しんでほしいですね♪

バーの名前である「BRATs」ってそういう意味も含めています。直訳すると「悪ガキ」ですが、それを自分たちで名乗るところに意味を見出しています。 
「お前たち悪ガキだろ?」と言われたとき「いや、違うよ。障害なんだよ」と言ったら攻撃なんです。だから、こちらは度量を見せて「うん、悪ガキだよ!」って言いたいです。 
やっと中二病を出した(笑)
(147ページ)
⇒☆この「悪ガキなんだよ!」って自ら名乗ること、そしてそれを愉しむ度量と余裕!この感覚、素敵♪

セックス依存症は女性に多い病です。特に薬物依存症や性虐待を生き延びた女性に多く見られ、不特定多数の異性と関係を持つこと自体が、彼女らに一時的な心の安定をもたらします。 
心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷への対処行動として彼女らは、その行動を繰り返し、やめられないのです。(『男が痴漢になる理由』p.47)
153ページ)
⇒☆セックス依存症は女性に多い病であること、そして心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷の対処行動として繰り返して止められないということをもっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。

定型発達の人と比べると、当事者のほうが性について話したい人と話したくない人の差が激しい傾向にあります。当事者のなかでも、もっと性について語れる場を増やしていきたいです。 
性って本来すごく大事なことに全然話せていない。『それならば、性について話したい人だけが集まればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、そうなると今度はその人たち同士でどういう距離感で話せばいいかという問題が生まれます。(中略) 
自助会のようなクローズドな場はたくさんある一方、オープンな場は発達障害バーくらいしかありません。だから、自助会でもなく饒舌な交流会の場でもなく『自助会以上、居場所未満』の中間層を今後作っていきたいです。 
発達障害の人に向けて、性の悩みや性被害を少しでもなくしていけたらと思います。
(156ページ)
⇒☆この「自助会以上、居場所未満」という中間層が、今エデン大阪やエデン京都などを中心に徐々に増えてきていますね。

ハーバード大学を卒業された『ポジティブ心理学』の第一人者ジョン・エイカー氏が、スーパープレゼンテーションで『就職(成功)したら幸せになる時代ではない。幸せになったら成功できる時代だ」と言っていました。 
幸せに感じたところから自己受容が起こり、自己肯定感が高まって、自己開示につながり。そして相手のために自己表現をすることで他者と繋がっていくので、結果的に"就労"という形になるんです。 
自己受容がはじまる前段階で、無理やり就職をしても長続きすることはかなり難しいと感じています。
(192ページ)
⇒☆「自己受容がはじまる前段階」。これはセルフアドボカシーが重要ということを言っているような気がしました。

2018年1月17日水曜日

【発達凸凹 Book#24】 『脳からわかる発達障害』



発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。


本の紹介



『脳からわかる発達障害』
鳥居深雪=著/中央法規

植草学園大学准教授であり、NPO法人人間医工学研究会「千の葉教育科学研究所」で、脳科学の研究成果を子どもたちの教育に応用することに取り組んでいる鳥居深雪氏の著作です。

LD・ADHD・高機能広汎性発達障害の子どもたちを脳機能から理解するアプローチを紹介するとともに、脳機能の基礎知識がわかりやすく書かれています。

また、著者が実践している遊びを通した認知支援(CIP:Cognitive Intervention in Play)やソーシャルスキルトレーニング(SST:Social Skil Training)などの発達障害の子どもたちの指導方法についても解説されています。

巻末の資料には、上記の指導方法で用いるワークシートなどの教材が紹介されています。



書評



脳科学の基礎知識がとてもわかりやすく書かれているなというのが第一印象でした。発達障害のある子どもたちが抱える生きづらさも、脳科学から考えるとより理解が深まるなとも感じました。

脳科学の知見+教育現場での経験


また、一つの事象に対して、脳科学の知見と教育現場での感覚の両方から述べている記述が度々登場します。
これは、著者が脳科学の研究者になる前に、長らく教員として特別支援教育に携わっていたことがあり、それもこの本の特色だなと思いました。
ですので、この本で著者が紹介する指導方法は、脳科学の知見に加えて、著者の教育現場での経験が盛り込まれていて、発達障害のある子どもたちの教育や子育てに活かせるものが多いのが素敵だなと感じました♪

診断基準に関しての注意


本書の初版発行が2009年9月となっています。なので、現行の診断基準であるDSM-Ⅴではなく、それ以前の診断基準であるDSM-Ⅳ-TRに準拠した診断名(高機能広汎性発達障害など)が登場するので少し注意が必要かと思われます。


引用とコメント



以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

発達障害は、「障害らしくない障害」「見えにくい障害」といわれます。一見、何の障害ももっていないように見えるために、支援よりも批判や攻撃を受けることの方が多くなってしまいます。周囲から障害が理解されないことが最大の問題であると言っても良いかもしれません。
(12ページ)
⇒☆周囲から障害であると理解されないことが最大の障害である、といってもよいかもしれませんね。

教員をしている友人と、もう一つ意見が一致することがあります。それは「子ども全体の社会性が落ちているので、支えてくれる周囲の子供がいなくなった」ということです。 
かつては、いろいろなことでうまくできない子どもがいても、周囲の子どもがうまくサポートして、手伝ったり仲間に入れたりしてくれました。最近では、それができなくなってきているのです。 
子どもたち全体の「人と関わる力」が弱くなって、それぞれがバラバラに動くことが増えました。サポートするどころか、いじめの標的にすることさえあります(私見ですが、この変化は特に女の子に顕著であるような気がします)。
(13ページ)
⇒☆定型発達、発達障害に関わらず子ども全体の社会性を育むことができるようにするにはどうしたらいいのかについても、今後議論が必要でしょう。

発達障害をもつ子どもが増えた要因としては、生物学的なもの(実際に増えている)、社会的なもの(より困難さが増加している)が、複雑に絡み合っていると考えられます。
(14ページ)
⇒☆先ほど出てきた、「子ども全体の社会性が落ちている」ことが、より困難を抱える子どもが増加している一因となっていると思われます。

「ものを見ることは学習によって獲得する力である」ということと、そのような学習に適した時期は限られている、ということです。 
ここでいう「学習」とは、心理学用語で「経験によって、行動が多少とも持続的な変容を示すこと」を意味します。脳の発達の観点から考える、学習が可能な時期のことを「感受性期」といいます。 
子どもの頃に正常な視覚体験をしておかないと、脳内で視覚情報を処理する機能が発達せず、成長してから目を治療しても見る力が獲得できないのです。「見ること」には、目だけでなく脳も働いているのです。脳の機能を発達させるためには、感受性期に必要な経験を通して学習をしておくことが、とても大切だといえるでしょう。
(28ページ)
⇒☆確かに感受性期に必要な経験を通して学習しておくことがとても大切だと思います。しかし、この感受性期に必要な経験を通して学習する機会を不幸にも逸してしまった人たちのためにも、何らかのリカバリーする方法が医学的・心理学的知見から発見されれば、もっといいですね♪

人の顔が覚えられない認知障害は「相貌失認」といいます。相貌失認の発症率は、以前は少ないと考えられてきました。 
しかし、最近の調査で、人口の2~3%にのぼるということがわかってきています(これは、どの学校にも一人はいる、ということです)。 
自閉症を中心とする広汎性発達障害の方には、相貌失認が多く見られることは知られています。
(中略)
高機能広汎性発達障害の子どもたちが、誰に対しても打ち解けず堅苦しい接し方であることが多いのは、顔の認知の問題も関わっているのではないかと思います。 
「人の顔が覚えられない人たちがいる」ということを、みなさんに理解してほしいと思います。
(35ページ)
⇒☆相貌失認の発症率が人口の2~3%にのぼるということは、もっと多くの人に知っておいてもらいたいですね。

教育的には、PDDではなくてもIQ70~85程度の知能の子どもたちは「境界線知能」として、特別な支援を必要とすると考えられています。 
「標準的知能」はIQ85以上なので、教育的にはIQ85以上ないと「高機能」とはいえない、と判断されます。日々の支援を考える上では、教育的判断の方が現実的な気がします。
(88ページ)
⇒☆IQ70~85程度の人は、制度の狭間にも置かれやすいということがあるのかもしれませんね。

日本の高機能PDD者として有名なニキ・リンコさんの言葉を借りれば、「定型発達の人がオートマチックでできることを、すべてマニュアルでやっている」ようなものだそうです。
(124ページ)
⇒☆ニキ・リンコさんらしい言葉♪マニュアルでやるのは確かに苦労や疲れがたまることも多いですが、マニュアルを作ることを愉しみながら、日常生活の幸福度を上げていければ素敵ですね♪

学校や家庭では、情報が多すぎで意味がうまく理解できなかったり、周囲のペースとなかなか合わなかったり、子どもにとって不安で自信がもてない状況になっているのかもしれません。 
子どもは「安心」できて「わかる」環境があってこそ、たくさんのことを学べるのです。
(138ページ)
⇒☆まずは、「安心」できて「わかる」環境。One day cafe.kyotoもこのことを意識してイベントを運営する必要があると痛感!!!

ひとつのことを決めるのにも時間がかかることがありますが、子どものペースに合わせ、子どもが自分の気持ちや考えを整理する間、待つことが大切です。待っている時間にも、とても大切な意味があるのです。
(138ページ)
⇒☆この「待つ」という行為の重要性をより多くの人に認識してもらいたいですね。

2018年1月11日木曜日

【発達凸凹 Book#23】 『これでわかる 大人の発達障害』


発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『これでわかる 大人の発達障害』
林寧哲=著/成美堂出版

大人になってから発達障害と診断された方が、発達障害についての知識を学び、「生きづらさ」を軽減・解消することを目指して書かれた書籍。見開き2ページに1項目ずつ書かれており、右ページに解説文、左ページにイラストや図が盛り込まれ、読みやすいです。

本書の構成


本書は以下の6つのパートから構成されいます。

Part1.発達障害とは何か
 最新の医学情報をまじえて、発達障害の種類や、それぞれの特徴、症状を解説。発達障害についての理解を深めることができます。

Part2.発達障害の診断
 初診から診断が下るまで、どのような診察や検査があるのかを詳しく紹介。専門医の探し方や受診に必要な準備など、事前に知っておきたい情報を詳しく知ることができます。また、発達障害と診断されたときの心構えも掲載しています。

Part3.発達障害の治療とケア
 薬物療法や精神療法など、発達障害に用いられる治療法やケアの方法を解説。二次障害の基本的な知識と治療方法についても掲載。

Part4.「生きづらさ」に対処するヒント
 生活上の問題がどのような特性から起こっているのかを理解し、「生きづらさ」を軽減するヒントを知ることができます。

Part5.自立した社会生活を営むために
 発達障害の人によく見られる生活上の問題を場面別に分け、苦手を克服するための対処法を具体的にアドバイス。すぐに実践できるノウハウを多数掲載。

Part6.周囲のサポートと公的サービス
 発達障害の人との接し方や具体的なサポートの方法を解説。手帳制度や就労支援などの公的サービスについても紹介しています。また、支援機関や支援制度の利用方法や手続きの仕方も掲載しています。

書評


Part2は、自分の周囲に「もしかしたら自分は発達障害かもしれないので、診断を受けようと思うのだけど…」という方がいたらぜひとも伝えてたい内容だなと思いました。

初診から診断が下るまでにどのような診察や検査があるのかを詳しく紹介されていますが、先の見通しが立たないと不安を覚えるASDの人にとっては有益な情報だとも感じました。

Part5で、発達障害の人は、「できること」「がんばればできること」「努力してもできないこと」があるという話が出てきますが、この3つの見極めは、当事者にも支援者にも求められているなと強く感じました。

当事者が3つの見極めができるようになるには、特性を含めた自分自身を理解することが前提となります。

また、支援者は当事者の特性をよく理解し、どの程度までサポートするのかを当事者と相談していく必要があります。そのような当事者・支援者双方の歩み寄りが重要になりますね。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

知能検査の正規分布をもとにすると、社会は82.2%を占める、普通の人たちで構成されています。お金を稼いで自立するためには、この普通という概念の中に入っていかなければなりません 
そのためには、普通のふるまい方や、普通であるとはどういうことなのかという情報を、できる限り集める必要があります。そのうえで、普通にふるまうことを要求される場面では、「普通であるふり」をするのです。 
しかし、ここで問題が生じます。普通を要求される場面を、どうやって知るのかという問題です。対処方法はひとつしかありません。チャレンジして失敗しながら、試行錯誤を繰り返し、経験を積んでいくことです。
(56ページ) 

⇒☆この、チャレンジして失敗しながら試行錯誤を繰り返し経験を積んでいく過程において、当事者会、特に茶話会やサロンを有効活用できそうですね。その際、まずチャレンジしたことを「Good challenge!」としてほめあえることができれば素敵ですね♪

発達障害の治療には、さまざまなものがあります。どの治療も、主体となるのは発達障害の特性によって起こる「生きづらさ」を軽減するための工夫です。その工夫が適切であれば、すなわちそれは治療になります。 
そのため、発達障害の人には2つのことが必要になります。ひとつは、自分の特性を知る自己理解です。もうひとつは、具体的な問題に対処するための努力を続ける意欲です。
(60ページ )

⇒☆自分の特性を知る自己理解にも、具体的な問題に対処するためにも当事者会が有効な場面がありそうですね。また「努力」という言葉が出てきましたが、具体的な問題に対処すること自体を凸凹当事者が「愉しむ」ことができればいいですよね♪

「当事者会」は発達障害の人同士が集まって交流する場。会話など、コミュニケーション能力の向上を図ることができます。会によっては、男性メンバーが中心で女性メンバーが少ないなど(その逆も)、それぞれに特色があります。 
また、細かいルールや独自のルールを設けているところもあります。入会前に会のルールや様子を確認しておくようにします。 
ピアサポートという言葉は、「同じ立場の人が行うサポート」の意味で、発達障害の人同士で問題解決を考える場。大学によっては学内でピアサポート活動を行っているところもあります。「ピアサポート」という名前がついてる会の中には、当事者会と同様、交流の場となっているところもあります。
(81ページ) 

⇒☆ここ数年で当事者会の数が増えてきましたが、それぞれの当事者の特徴など網羅したウェブサイトもあれば便利ですよね。また、当事者会に初めて参加する人が不安にならないように、会のルールや様子を気軽に、特にネット上で確認できるようにしておくことも必要となってきそうです。

発達障害の人には、「できること」「がんばればできること」「努力してもできないこと」があります。このうち、サポートが必要なのは、「がんばればできること」「努力してもできないこと」の2点です。 
「努力してもできないこと」は、周りの人の全面的な支援や公的な支援が必要です。「がんばればできること」は、本人の努力によって訓練を続ければ習得することが可能です。 
この2点については、特性をよく理解し、どの程度までサポートするのかを、本人と相談しながら判断したいところです。
(141ページ) 

⇒☆この「できること」「「がんばればできること」「努力してもできないこと」の見極めができるようになるためにも、まずは当事者が自己理解を深めていく、そして支援者はそれをサポートすることが重要ですね。