2017年10月31日火曜日

【発達凸凹 Book#18】 『オトナの発達障害大図解』



発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『オトナの発達障害大図解』
藤田潔・古川修・森脇正詞=著/幻冬舎

本書では、発達障害、特にASDとADHDについての基本的な知識をまとめた上で、投薬などの治療法や技能訓練、職場復帰の方法、社会生活に適応するための対処法をわかりやすく解説した本です。

発達障害の人が無理なく実行するためのポイントが、1項目ずつ見開き2ページでイラストつきで説明されており、スムーズに読み進められる構成になっています。

書評


本書では、著書の施設で取り組んでいる、「発達障害専門のリワークプログラム」で実際に使用されている「生活見直しシート」などのチェックシートが紹介されています。これらのチェックシートは、リワークプログラムを受講していない読者が自分一人でも取り組めるようになっているのは助かりますね。

発達障害のリワークプログラムの現状と普及への期待


発達障害専門のリワークプログラムですが、普及しているとは言えません。発達障害のリワークプログラムは、うつ病など気分障害のプログラムに比べて個別対応がより重要となります。

その分気分障害のプログラム以上に人件費が必要となりますが、現時点では残念ながら診療報酬には十分に反映されていません。このことも、発達障害のリワークプログラムが全国的に普及しない理由の一つのようです。

しかし著者らは、発達障害に苦しみ、仕事を続けられず休職してしまった人たちのためにも、リワークプログラムを採算度外視で行う意味があると考え、実際に勤務する施設で、リワークプログラムを実施しています。

まずは、採算度外視で取り組まれている著者の施設の方々に敬意を評したいと思います。今後、診療報酬体系が整備されて、発達障害専門のリワークプログラムが全国に普及していくことに期待したいですね♪

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

国立精神・神経医療研究センターの調査によると、成人になってから精神科を受診して発達障害と診断された患者は、2002年から2008年の6年間で約10倍に増えました。
(はじめに)
⇒☆「発達障害」という概念が身近になったのが大きな要因かもしれませんね。

まずは「ものを減らす」ことから始めます。書類、文具、本などと、散らかっているものを種類別にひとつの場所にまとめ、「いるもの」「いらないもの」「迷ったもの」に分けていきます。作業時間も10分くらいに決め、ストップウォッチで測りながら片付けをしました。
(56ページ)
⇒☆「迷ったもの」というカテゴリーを設けておくのも、作業時間を10分に決めてストップウォッチで測りながらやるのも有効な手立てですね♪

たとえば触覚に過敏さがある場合、軽く触れるマッサージよりも、深く圧力をかけるようなマッサージを受ける方がリラックスにつながります。軽く触れると過敏さが助長され、かえって不快に感じることもあるからです。
(89ページ)
⇒☆触覚過敏の場合、触れること自体がタブーだと思っている人も多いかもしれませんね。けれども深く圧力をかけた方がよい場合もあるのですね。

「子供の頃から大好きなこと」「無理せずずっと続けられること」「豊富な知識がある得意分野」に照準を定めて、特性にマッチした仕事を選ぶことが大切です。
(119ページ)
⇒☆「子供の頃から大好きなこと」なら、それがこれからの人生において、いきなり「嫌い」になることは少ないと思うので、有効なアプローチ!

医療に携わる立場として申し上げると、診療報酬の問題もあります。発達障害のリワークプログラムは、うつ病など気分障害のプログラムに比べて個別対応がより重要となります。その分気分障害のプログラム以上に人件費が必要となりますが、現時点では残念ながら診療報酬には十分に反映されていません。このことも、発達障害のリワークプログラムが全国的に普及しない理由の一つです。
(129ページ)
⇒☆診療報酬の問題も発達障害のリワークプログラムが普及しない要因だったみたいですね。今後は、診療報酬体系が整備され、発達障害のリワークプログラムがどんどん普及していくことが望まれますね。

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