2018年3月14日水曜日

【発達凸凹 Book#28】 『ぼくには数字が風景に見える』



発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『ぼくには数字が風景に見える』
ダニエル・タミット=著・古谷美登里=訳/講談社文庫

著者のダニエル・タミット氏は語学や計算に超人的な能力を持つサヴァン症候群であり、アスペルガー症候群の方です。2004年に円周率を2万2514桁を暗証し、ヨーロッパ記録を樹立します(のちにミスが判明)。

彼が出演するドキュメンタリー「ブレインマン」は日本でもNHK教育テレビで放送され、目にした方も多いのではないでしょうか?

本書は、そんな彼が自分の誕生から現在(出版当時の2006年)までを、その記憶力を生かしてきわめた克明に綴った回想録になります。

2007年1月にアメリカで出版されるとすぐに、「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーリストの2位(ノンフィクション部門)になり、アマゾンUSAでは1位にもなったそうです。

書評


まず、自らの生い立ちや考えを、虚飾を一切排除して率直に迫っている著者の姿に感動を覚えました。その率直さと、「自分を知り積極的に生きよう」とするひたむきさが、世界中の多くの人に共感を与えたのではないでしょうか?

特に、映画「レインマン」のモデルとなったキム・ピークに会う場面では涙無くして語れませんね(T_T)

また、サヴァン症候群の人たちの内面や共感覚を克明に綴っているという点も特筆すべきだと思います。4は内気で物静か、89は舞う雪のよう。数字に色や感情、動きを感じる共感覚について記述がこの作品に不思議な色合いをもたらしているなと感じました♪


引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

確かにこの能力(膨大な数字を操ったり計算したりする能力;註)はサヴァン症候群の人によくみられるものだ(「lightning calculators電光石火計算する人たち」と呼ばれる
(14ページ)
⇒☆このlightningから始まる異名(?)がカッコイイです!

(母乳で育てることは;註)自閉症スペクトラムの子どもたちの感情発達にとって有益だとも考えられている。母乳で育てられた自閉症の子どもは、粉ミルクで育てられた子どもより周囲の反応がよく、社会的な順応性が高くなり、感情が豊かになるという報告もある。
(31ページ)
⇒☆さまざまな事情で粉ミルクでしか育てられない場合でも、粉ミルクの成分が母乳と何ら変わらなくなるように、今後の粉ミルクの開発に期待したいですね♪

英国自閉症協会の2001年の調査によれば、高機能自閉症、あるいはアスペルガー症候群の人でフルタイムの仕事に就いているのはたった12%。一方、2003年のイギリス統計局の調査では、ほかの障害者では49%が、そして健常者の81%が正規に雇用されている。 
(中略)自閉症協会の求職情報誌は、公平に扱ってもらうためには面接を受けるより試用期間をもうけて働かせてもらうことを勧めている。
(203ページ)
⇒☆面接を受けるよりも試用期間を設けて働くことが、公平かつ衡平な採用方法として普及すれば素敵♪

キム(キム・ピーク;註)が伝えたいことはこういうことなんです。『人と違っていることで障害者にされる必要はない。だれのからだも違っているのだから』
(275ページ)
⇒☆さらに言えば、「だれの脳も違っているのだから」という言葉、つまり一人ひとりの脳のタイプが違う「ブレインスタイル・ダイバーシティ」という概念が今後普及していけばいいなと思いました♪

世界中の多くの人々に感動と共感を与えたのは、自分を知り積極的に生きる道を選んだ彼の勇気とひたむきさだったのだと思います。映画『レインマン』のモデルとなったキムピークに会う場面では思わず胸が熱くなりました。
(311ページ)
⇒☆自分を知り、積極的に生きようという道を選んでいく発達凸凹の方のために、これからも何ができるかを考えて追求していきたいですね!

そのいっぽうで読者は、アスペルガー症候群という難しい障害を抱えながらも、一歩一歩自立の道を歩んでいくタメット少年の成長ぶりに、大きく心を動かされるだろう。 
彼を支えた家族の姿も、また感動的である。とくに、障害についての知識を持たずに、育てにくい子どもを立派に成人させた両親の存在は、いまの時代の多くの親たちに希望を与えるに違いない。
(324ページ)
⇒☆凸凹フューチャーセンターも、一歩一歩「ひたむきに」そして、「愉しく」歩んでいく姿を日々発信していきたいと思います♪

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