2018年6月11日月曜日

【発達凸凹 Book#32】『発達障害と結婚』




発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『発達障害と結婚吉濱ツトム=著/イースト新書
著者の吉濱ツトム氏は発達障害当事者であり、発達障害専門のカウンセラーとして活躍しています。本書には、これまでのカウンセリングの症例(実に2000人!)を元に発達障害を持つ人が幸せな結婚生活を送るためのポイントがまとめられています。

本書の構成は以下のようになります。
第一章 なぜか「結婚できない」あなたへ
第二章 発達障害者の婚活がうまくいかない理由
第三章 発達障害者にとって「理想の相手」とは
第四章 発達障害者でも婚活に成功できる「十の方法」
第5章 「幸せな結婚生活」のために知っておきたいこと
第六章 「幸せな結婚生活」を送るためのチェックリスト

書評


構成を見てもわかるように、婚活用のすぐに使えるテクニックから、結婚生活を幸せに過ごすための長期的な取り組みまで網羅しているのがありがたいと思いました♪

婚活用のすぐに使えるテクニックは第四章で紹介されているのですが、サプリメントで神経伝達物質の分泌をよくする、「セルフ実況」でメタ認知を回復させるなどといったテクニックは、婚活以外の場面でも重宝しそうだと感じました。

第六章では、「幸せな結婚生活」を送るためのチェックリストが、恋愛~子どもが生まれてから、というようにライフステージごとにチェックリストが設けられています。ライフステージ毎にパートナー同士でチェックできるのが素敵ですね♪

第三章では、発達障害者同士の相性についての言及が非常に興味深いです。相性のよい組み合わせ・相性の悪い組み合わせ・惹かれやすいが関係が悪化する組み合わせに加えて、そもそも結婚に向いていない発達障害者のタイプまで登場します!

それらの組み合わせに関して、特性が似た者同士の「類似性」に惹かれるか、自分に足りないものを持っている「補完性」に惹かれるかという著者の問いかけには非常に考えさせるものがあります。

著者はどちらにも一長一短はあるが、補完性の高いパートナーにイライラするより、気の合うパートナーを選んで、足りない部分をアウトソースすることを推奨しています。

いまの時代の結婚は情緒的な結びつきが長続きの要。居心地のよさを重視するという結婚感も検討の余地がありそうですね♪

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

誰もが「コミュ上手」を求められるいまだからこそ、「コミュ力」が弱くて困っている発達障害者たちは、寄り添い、協力し合って、幸せな生活を築いてほしいと思うのです。 
(5ページ)
⇒☆大いに賛同!凸凹さんには幸せな結婚生活を築いてほしいですし、何より築く過程を愉しんでほしいと思います♪

残念ながら、婚活では断られる理由を伝えられることはほとんどありません。結婚相手を決めるときに、「この人がいい」という理由ならあるでしょうが、断るときにはこれといった明確な理由が見つからないことのほうが多いのです。 
 理由がわからなければなすすべがありません。教訓を次に生かすことができず同じような失敗を繰り返してしまいます。 
論理に強いことがアスペルガーにとって最大の武器ですが、その武器が通用しない婚活では苦戦を強いられるのは必至です。 
(65ページ)
⇒☆問題の背景が実に根深いと感じてしまいました…

婚活はとにかく場数を踏むことが大切です。最初のうちは緊張してあまり自分のよさを伝えられないかもしれませんが、数をこなしていくうちに慣れてきて、少しずつ自然に振る舞えるようになっていきます。 
100人に振られようが、たったひとりがOKしてくればいいのです。数人に振られたぐらいで、いちいち落ち込んでいる場合ではありません。 
(66ページ)
⇒☆振られることへの恐怖心が少し軽くなる解説♪

現実的に役立つのは小手先のテクニックです。ナンパの達人などは相手の心を開くオープナーから始まって、軽い会話、デートコースとたくさんのマニュアルを持っています。こうして女の子をものにしていくのです。 
長期的に関係を維持するにはテクニックだけでは難しいかもしれませんが、まずは女性と親しくなれなければ何も始まりません。 
(68ページ)
⇒☆「小手先のテクニック」というと根が真面目なアスペルガーの人は反発しそうですが、「異性とお近づきになるための技法・作法」と捉えると、「自分も取り組んでみよう」と感じられそうですね。

発達障害を持つ人は、その症状が災いして婚活がなかなかうまく進みません。定型発達の人たち同士で次々とカップルが誕生し、婚活とフィールドから去っていきます。残されるのは発達障害を持つ人ばかり。 
(78ページ)
⇒☆極めて真理をついた一文!でもこれが婚活フィールドで実際に起こってることとして理解し行動している人はなかなかいないのではないでしょうか?

「また断られた。これで5回目だ」と失敗体験としてカウントするのではなく、「とりあえず練習だと思って、デートを20回してみよう」「これで5回目」「今回は同じ人と3回もデートできたぞ」と一つひとつの経験を、"試行回数を増やす"という目的の成功事例としてカウントしていきましょう。 
前向きな気持ちに場数を踏んでいけば、初対面への苦手意識はどんどん薄れます。 
(80ページ)
⇒☆「試行回数を増やす」という意識で取り組んでいく考え方だと、すごく楽な気持ちで入ってそう♪それに、一回一回の試行でも前向きに取り組んでいるので、その前向きさが相手に好印象を与えて、成功確率が上がっている状態になりそうですね♪

芸人のコージー富田さんがタモリさんのモノマネをするとき、「髪切った?」というセリフをよく使います。 
あれは初対面のゲストとの会話で、とくに話すことがない場合に使っていたタモリさんの常套句なのだそうです。あれだけのトークの達人でも、オープナーをしっかり用意してるということ。 
この「髪切った?」には、「以前からあなたのこと見ていましたよ」「あなたの変化に気づきましたよ」という相手への関心が含まれているあたり、さすがタモリさんです。 
(83ページ)
⇒☆あのタモリさんもオープナーをしっかり使っていたとは!

ファッションセンスに自信のない人、もしくは自信はあるけれども、ちょっとズレている僕みたいな人はスタイリストさんに頼ることをおすすめします。 
「パーソナルスタイリスト」でネット検索をすれば、個人で利用できるサービスがたくさん出てきます。 
もしスタイリストさんを頼むのが金銭的にキツければ、お店で店員に相談しながら買いましょう。マネキンが着ている服を、そのままそっくり買ってしまうのありです。 
(100ページ)
⇒☆一度じっくり時間を掛けて、店員さんにアドバイスを貰うのもありですね。

発達障害者やグレーゾーンの人は結婚相手として敬遠される傾向がありますが、相性によっては良好なパートナーになることができます。 
もしあなたが発達障害者やグレーゾーンであるなら。同じ悩みを持つ者同士、ともに改善プログラムに励み。またお互いがお互いのコーチとして機能することはできます。 
発達障害者同士がカップルになる場合、その相性をしっかり見きわめることが重要です。 
(116ページ)
⇒☆おお!発達障害者やグレーゾーン同士の相性の重要性を指摘している本に初めて出会った気がします!

補完性の高いパートナーにイライラするより、気の合うパートナーを選んで、足りない部分をアウトソースすることをおすすめします。 
(127ページ)
⇒☆おお、この考え方は画期的!

補完性のある相手は情緒より利害が重視される関係に適しています。夫婦より仕事のパートナーに向いているでしょう。 
(128ページ)
⇒☆仕事と結婚でパートナーを分けるという考え方、とても重要ですね♪

発達障害者は定型発達の人に比べて格段に恋愛依存に陥りやすい傾向があります。恋愛依存は大きく分けると回避依存、共依存、ロマンス依存、セックス依存の四つに分類されますが、発達障害を持つ人は、とくに回避依存と共依存が多く見られます。 
(128ページ)
⇒☆恋愛依存、とくに回避依存と共依存が発達障害者に多く見受けられる傾向があることに対する認知がもっと広まっていけばと思います。

夫婦間では、
 ◎お互いの長所と短所を把握する
 ◎お互いの長期的な目標を理解する
 ◎将来的なセーフティー・ネットをともに強化する
 この三つが大切です。これが達成できて初めて夫婦であることのメリットが生まれます。 
(129ページ)
⇒☆結婚はゴールではなく、夫婦としての新たなるスタート。この3つを達成できるように夫婦で共に高め合うことができれば素敵ですね♪

発達障害を持つ人は対等な人間関係を築くことが苦手なようです。しかし、どちらが上でも下でもないフラットな環境を保つことが幸せな結婚生活を送れるうえで重要なポイントです。 
(134ページ)
⇒☆One day cafe.kyotoに来た人たちには、せめてカフェの時間だけでもフラットな関係で対話することの重要性や愉しさを感じて欲しいなと思いました♪手前味噌ですいません(^_^;)


「連絡ください」というのは相手の行動に主眼を置いたYou-Messageです。それに対し、「連絡くれると嬉しいです」というのは自分の感情に主眼を置いたI-Messageです。相手に何かを求める時はI-Messageにすることで穏やかに伝えることができます。 
(148ページ)
⇒☆このI-Messageのテクニックは、恋愛に限らず、コミュニケーションのあらゆる場面で効果を発揮しそうですね♪

結婚というのは意外に淡々としています。条件にバッチリな理想の相手とドラマチックに恋をする必要はありません。「この人なら、まぁ一緒にやっていけそう」ぐらいの相手でいい。むしろ、そのぐらいの相手のほうがうまくいきやすいものです。
(中略)
婚活に恋愛の要素はいりません。特別な恋愛感情がなくても、一緒にいてお互いが心地よく感じられるなら、それで十分です。恋愛の熱に浮かされての結婚は危険です。相手に惚れている状態では冷静な判断ができませんから。 
(162ページ)
⇒☆発達障害の人の中には、メタ認知機能弱い人が多いと思われるので、なおさら「恋愛の熱に浮かされていないか」をきちんと確認していくことが重要ですね。パートナーとの日々のやり取りに心地よさを感じているかを今一度振り返っていきたいものですね♪

発達障害者の場合、症状としてとくに自分のペースやスペースへのこだわりを強く持っています。発達障害者が幸福な結婚生活を営むには、究極的には別居婚や週末婚といった形態が理想です。一般的な結婚の概念に振り回されず、自分たちにとって快適やなあり方を模索していきましょう。 
(187ページ)
⇒☆自分たちにとって快適なあり方を模索する、快適なあり方に多様性があるということがもっと多くの人に広まればいいですね♪

結婚生活を円満に送ることができれば、そのコミュニケーション技術や問題解決能力は、あらゆるシーンで活用可能になるのです。 
発達障害を持つ人はコミュニケーションが苦手で認知に偏りが大きく、結婚生活にトラブルを抱えがち。 
しかし、これまでの人生や人間関係でずっと苦しんできた発達障害者にこそ、結婚を通じて人づきあいの楽しさを知ってほしいと願っています。 
(222ページ)
⇒☆本書やこの書評を通じて、人付き合いの愉しさを多くの人が知ってもらえればいいと思います♪

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