発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。
本の紹介
『隠れアスペルガーでもできる幸せな恋愛』
吉濱ツトム=著/KKベストセラーズ
発達障害を専門にしているカウンセラーである吉濱ツトム氏が、「恋愛難民」のアスペルガー人に向けて書いた書籍です。
以下に本書の構成を記します。
序章 ケーススタディ・恋愛に苦しむ難民たち
第1章 なぜあなたは「恋愛難民」になってしまうのか
第2章 あなたが恋愛できない本当の理由(恋愛逃避型・コミュ障型)
第3章 トラブル続きの恋愛パターン(共依存型・刺激追求型)
第4章 アスペでもできる!吉濱式恋愛トレーニング
書評
チェックリストで恋愛タイプや過去の恋愛パターンを把握できる
本書には、様々なチェックリストが登場します。
それらのチェックリストを実行することで、自身の恋愛タイプを把握したり、恋愛下手につながる言動を自覚したりすることができるのが便利だと感じました。
自身の恋愛タイプや傾向、過去の恋愛パターンを把握することで、否定的な認知を是正する、対人緊張をやわらげるといった「吉濱式恋愛トレーニング」の効果が上がることが期待されます。
「試行回数を重ね、経験を積み、成功率が上がる」恋愛トレーニング
「吉濱式恋愛トレーニング」は、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を下敷きに、行動療法や認知療法を取り入れた科学的でシステマティックなアプローチになっています。
「理論的な説明⇒具体的なテクニックやコツを紹介」という構成になっていますので、すぐに恋愛トレーニングとして、テクニックやコツを実践できるようになっています。
「試行回数を重ね、経験を積んでいくことで成功率が上がる」と説く吉濱氏のコンセプトに正に合致しているなと感じました。
引用とコメント
以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。
真正ではないグレーゾーンのアスペルガー、「隠れアスペルガー」は、日本人の40~50人に1人くらいいると推計されます(『ガイドブック アスペルガー症候群ー親と専門家のために』トニー・アトウッド著、東京書籍、1999年)。
発達障害の人を数多く見てきた僕の実感としては、20人に1人くらいは隠れアスペルガーだと言っていいほど、最近とても増えてきています。
ちなみに、ADHDと診断される人は40~50人に1人ですが、軽度のADHDは10人に1人くらいだと言われています。
(54ページ)
⇒☆グレーゾーン故に本人にも自覚がない人が多いのだろうなと思われますし、それ故により生きづらさを感じたり、周囲に相談できずに一人で抱え込んでしまうことも予想できます。
僕は、アスペルガーの人たちには安定した恋愛ができるようになってもらいたいと思っています。アスペルガーの人が楽しく幸せな恋愛をするためには、アスペルガーやその症状についての知識と、トレーニングが不可欠です。
(74ページ)
⇒☆だからこの本ではまず、アスペルガーやその症状についての知識を説いた上で、恋愛に関するトレーニングについて解説するという構成になってのでしょう♪
あなたには、もっとコミュニケーション能力を発揮できる場があるのです。自分の意識や性格に責任を負わせるのではなく、環境を変えましょう。これだけで、恋愛というハードルは一気に下がります。
(113ページ)
⇒☆なるほど!コミュニケーション能力をより発揮できる環境に自分を移す。身軽になれる考え方ですね。♪
僕は、恋愛を成就させるために必要なのは、何よりも自信を持つことだと思っています。そのためにも、手っ取り早くテクニックを身につけて、何回も試行してほしい。 成功体験を積み重ねていけば、少しずつ「自分にも恋愛ができるんだ」という自信が芽生えてきます。
(125ページ)
⇒☆「手っ取り早いテクニック」と言うと誤解があるのかもしれませんね。「恋愛の技法」と捉えるようにする、より抵抗なく受け入れられそうですね♪
幼少期の体験や両親との関係を癒したり修復させなくても、次章で紹介するテクニックを身につければ、共依存型の恋愛パターンから抜け出すことは可能です。「自分は家庭内ストックホルム症候群に陥っていたんだ」と自覚するだけで十分なので、ぜひそのことに気づいてください。
(135ページ)
⇒☆幼少期の体験や両親との関係について内面を深く見つめ直そうとして、必死にもがいている人を当事者会で見ることがありますが、こと恋愛に関しては自覚を持って後はテクニックを身につけていけばいいようですね。
仮にトラウマが影響しているとしても、過去を探求したところで何も解決しません。そんなことより、認知療法で歪んだ認知を客観視できるようにしたほうが、よほど建設的です。自分の内面に目を向けるより、「どうすれば改善できるか」を具体的に考え。行動することを心がけましょう。
(177ページ)
⇒☆歪んだ認知を客観視することの重要性を、トラウマやアダルトチルドレンで苦しんでいる当事者にもっと知ってほしいと思いました!
「明日〇〇さんとのデートだから、今そのことを想像しているんだ。それで今、緊張してきちゃったのね。もし会話が途切れたらどうしようって心配なのね、なるほど。……」
このように、浮かんできた感情、思考、イメージ、記憶をひたすら実況中継します。口に出して言うのがベストですが、心の中で言葉にするだけでも構いません。最初のうちはなかなかうまくいきませんが、根気よく続けていきましょう。しだいに否定的なイメージが浮かびにくくなっていきます。
(実況中継テクニックには;註)緊張する自分を、一歩下がって第三者の目で見てみると、実体のない恐怖を過剰に膨らませていたことに気づくのです。と同時に、メタ認知を開発することにもつながります。
(193~194ページ)
⇒☆この「実況中継テクニック」をもっと多くの人が知れば、よりメタ認知がしやすくなる人が増えると思いました♪
人間というものは、自分を投影することでしか他人を見ることができません。自分のことを無価値だと思う人は、結局、他人の価値も認められない。つまり、自分を愛せないアスペルガーは、他人も愛せないということです。
こう言うと、多くの人は「自分を無条件に愛せるようにならなければ、恋愛できないんだ」と極端な解釈をします。自分を無条件に愛することなんて、普通はできませんし、ましてやアスペルガーは、自分への否定的感情が強化されているので、自分を愛するなんて至難の技です。
まずは自分を「ちょっと好き」程度で構いません。恋愛トレーニングによって少し劣等感が抑えられたら、ある程度恋愛テクニックが身についたら、まだ自分のことをそんなに愛せていなくても、どんどん恋愛にトライするべきです。試行回数が増えると、たまに成功することがあります。成功体験が生まれれば、自分のことをもう少し愛せるようになっていくのです。
恋愛トレーニングは、自分を愛するトレーニングでもあります。完璧を目指さなくてもいい。少しずつ自分を愛しながら、良い恋愛関係を築いていきましょう。
(236~237ページ)
⇒☆「完璧でなくてもいい」という言葉ですごく気持ちが楽になりますね♪
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