発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。
本の紹介
『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 女性の発達障害』
宮尾益知=監修/河出書房新社
発達障害の女性は、女性特有のさまざまな"生きづらさ"や"ズレ"を抱えている場合があります。特に思春期以降、友人問題や恋愛、就職などのさまざまな問題に直面した時、上手に対応できずに悩み苦しんでいる場合もあると思います。
本書は、そんな発達障害の女性を理解して家庭や職場での対応策や適切なサポートの方法を解説した一冊です。
書評
本書は、発達凸凹Bookとして過去にも紹介した「親子で理解する特性シリーズ」の1つになります。
以下に過去に紹介した書籍を記します。
発達凸凹Book#15 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』
発達凸凹Book#27 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編』
本シリーズは、見開きページ毎にトピックスが完結していることや大きなイラストが多数収録されていることが特徴です。そのため、女性の発達障害について読みやすくて理解しやすい構成となっているのが嬉しいですね♪
また、発達障害の女性特有の"生きづらさ"や"ズレ"に対しての対応策やサポートについて、具体的に書かれているのも重宝しますね♪
引用とコメント
以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。
例えば ASD(アスペルガー症候群)には、大きく3つのタイプに分けることができます。
1●積極奇異型
知らない人にも平気で話しかけたり、なれなれしく接したりする。
2●受身型
自分から積極的に接触を図ろうとしないが、誘われれば付き合うタイプ。女性に多いと言われています。
3●孤立型
他人と話したり関わったりすることに苦痛を感じ一人でいることを好む。
一般的に子供の時は1のタイプが多く、思春期から大人になるにつれて2や3のタイプに性格が変化していくケースがあります。
女性の場合は、小学校中学年ぐらいから2や3のタイプに性格が変化していくケースが多いと言われています。
(10ページ)
(ASDの;註)女性の場合は、思春期前後になると空気が読めず周囲に馴染めなかったり孤立してしまうことがあります。
(23ページ)
⇒☆女性の場合、思春期の前後に周囲に馴染めなかったり孤立しまうことが、その後の生きづらさにも直結しやすくなるのかも知れませんね。
ADHDは、男性より女性に多い発達障害ともいわれていますが、その理由はまだわかっていません。
(25ページ)
⇒☆「ADHDは男性よりも女性に多い」という理由がまだわかっていないのは、本当に興味深いです!
いわゆるガールズトークですが、不十分な説明と言葉と非言語コミュニケーションが時と場所を選ばず行われていくということですが。発達障害の女性には、最も苦手なことだと思います。
私も以前、女性会SSTを企画しましたが、内容を聞いて、会話の移り変わりの激しさに諦めてしまいました。
(29ページ)
人の話を聞く姿勢、相づちの打ち方、皆に有用な情報など引き出しをいくつか用意しておいて使ってみる努力をしつつ、一人でも良いと思う気持ちを持つようにした方が良いと思います。
そのような気持ちの持ち主が複数いると、人間関係の悩みを半減するはずです。
(29ページ)
⇒☆一人でも良いし、「何が何でもみんなと仲良くしなきゃならない」という思い込みから解放されることで、楽になることが多いと思われますね。
大学では、多くの学生が5月頃に第一の危機が訪れます。何もかもうまくいかなくなって、どうしたら良いかわからなくなります。
まだ本当に相談する人はいませんし、「どれくらい」といった適当という言葉もわかりません。
そういう時は、思い切って休んでみましょう。引きこもり、どこかに出かける。期間は2週間程度が適切です。罪悪感は持たず、あたり前のようにこの時間を取ることで、その後の大変な状況を免れることはできます。
(30ページ)
⇒☆期間を限定して罪悪感を持たずに引きこもる「積極的引きこもり」。確かに有効かもですね♪
(アスペルガー症候群の;註)女性の場合は幼児期にほとんど特性を目立たず、10歳前後になってきて、他人との「ズレ」を感じはじめることが多いようです。
(32ページ)
(アスペルガー症候群の中;註)男の子の場合、「積極奇異型」といって特性が問題行動に現れるケースが多いということもあります。
それに対して女の子は、自分から行動を起こすより人に指示された通りに行動したり、言われたことを素直に信じてしまう「受動型」が多いという面もあるようです。
(33ページ)
⇒☆女性のアスペルガー症候群特有の、「ズレ」の出現や「受動型の多さ」のことに対する認知度がもっと上がれて周囲のサポートを受けやすくなると思います。
(孤立してしまうことへの;註)サポートと対応法 アスペルガー症候群の女性に対しては、特性を理解してあげることがサポートの基本です。
交友関係
1.社会性の問題からグループ意識と仲間との関係性を結びにくい面があります。無理に友達と遊ばなくてもいい、ということを説明します
2.無理に友達はつくらず理解してくれる友だちを一人でも見つけてあげるようにしましょう。
3.一人でも好きな趣味などあれば、認めてあげることで落ち着いてくる場合があります。
会話
1.「今日はどうする?」→「調べたいものがあるから図書館へ行こう」というように、あいまいな表現ではなく。理由を付け加えて具体的に何をするか話す
2.冗談や言葉の裏を読めないこともあるので、はっきり理解できる言葉を使う
3.相手の言うことを聞かず一方的に話す場合は、話をさえぎらず、聞いてあげる姿勢も必要です。
周囲が理解する
アスペルガー症候群の女性は、相手が怒っているのか笑っているのか表情が読めない場合もあります。強い口調は、すべて怒っているように理解してしまいます・特性を説明して、周囲に理解してもらうことが重要です。
(35ページ)
(アスペルガー症候群の女性が;註)自分に合った医療機関を探すポイントは二つあります。一つは発達障害に詳しいこと。そして体調不良を治療してくれるかということです。
アスペルガー症候群の女性は、男性よりも体調不良になりやすいという特徴があり、この二つを兼ね備えている医療機関を選ぶと安心です。
(40ページ)
コミュニケーションで失敗して大きなストレスを抱えている人は、ペットを飼うことでリラックスできる人もいます。ペットを相手に話すことを日課にすることでホッとする人は多いようです。
- 犬や猫に限らず、金魚や亀など飼いやすいペットを選ぶ
- ペットに話すことでコミュニケーション不足が補える
- ペット仲間と共通の話題ができ、新たな友達ができることもある
(43ページ)
ADHDの女性は、特性による行動に強いコンプレックスを感じて、自分の周りの女性や世間が求める理想の女性を目指して必要以上に頑張ってしまう場合があります。
(中略)大事なことは自分にとって精神的な重荷にならない生き方や暮らし方とは何かを考え、見つけることです。
完ぺきを目指して失敗を重ねるより「失敗してもいい」「多少いい加減でもいい」と自分を許して楽になりましょう。
(68ページ)
⇒☆小さな失敗をたくさん経験できる場を作っていくことがますます求められるなと感じました。
(手前味噌ですが、)コミュニケーションといった対人場面での小さな失敗は、One day cafe.kyotoでたくさん経験し、それと同時に小さな失敗を自分も周囲の人も受け止める機会を持ってもらえれば♪
(手前味噌ですが、)コミュニケーションといった対人場面での小さな失敗は、One day cafe.kyotoでたくさん経験し、それと同時に小さな失敗を自分も周囲の人も受け止める機会を持ってもらえれば♪
「恥ずかしいこと」とは何かを説明することも必要ですが、社会的なルールとしてこのような行動はしてはいけない、ということを明確に教えてあげる必要があります。
間違いを指摘したり、ただ恥ずかしいことを伝えたりではなく、具体的にどう行動すればよいのかを示すことがサポートにつながります。
(74ページ)
⇒☆アスペルガー症候群に対してはルールとして教える、もしくはそれを文章化して伝える方がより伝わる気がします。
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