2018年11月3日土曜日

【発達凸凹 Book#37】 『私たちは生きづらさを抱えている』




発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。
でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


私たちは生きづらさを抱えている
姫野桂=著・五十嵐良雄=監修/イースト・プレス

本書は、発達障害の特性による生き辛さをテーマに、発達障害当事者22人に取材を行い、彼らの生きづらさをリアルに洗い出した一冊になります。

また、書き下ろしとして、「自分も発達障害かも」と疑う著者が心療内科を受診し、検査を受ける体験も収録されています。

書評


発達障害専門の医師が発達障害の知識や特性を解説した書籍は多くありますが、本書のように多くの当事者(その数22名!)に取材を行い、当事者がそれぞれ抱える生きづらさをリアルに洗い出した書籍は珍しく、本書の貴重さを感じます。

本書のもう一つの特徴は、「自分も発達障害かも」と疑う著書が、心療内科を受診し、検査を受ける体験が詳細に書かれていることです。

診察での医師とのやり取りや心理検査の内容が詳しく書かれていて、「検査を受けるかどうか迷っている」「検査ではどんなことをするのか」と不安を感じている人にとって大いに参考になります。

また、「知っておきたい発達障害の基礎知識」というコーナーがあり、そこでは、発達障害の種類などといった基礎知識が簡潔にまとめられているのも有益だなと思いました。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

当事者の悩みで一番多かったのが、マルチタスクが苦手だったり、職場の人と良好なコミュニケーションが取れなかったりして、仕事が続かないこと。  
次いで、二次障害によるうつ病や睡眠障害、自律神経失調症、発達障害の特性により引き起こす可能性のあるギャンブル依存症や買い物依存症、性依存症などだった。 
体調が悪くて病院を受診したら、その体調不良は発達障害が引き起こした二次障害だと判明したケースも珍しくなかった。 
この本により、当事者の現状や本音が少しでも多くの人に誤解なく伝わり、生きづらさの緩和への道が開ければと思う。
(5ページ)
⇒☆二次障害のうつや睡眠障害は結構認知度が上がったと思いますが、ギャンブルや買い物、性への依存症が多いということはまだまだ認知症が低いように思います。

また、生きづらさの緩和への道を開くことに、当事者も定型発達の人も関われるような仕組みがあればいいですね。

周りが楽しそうにしていても、自分には何が面白いのかがわからない。自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っても、相手に響かない。そのようなズレは発達障害の人にしかわからない。
(42ページ)
⇒☆自分の好きなことややりたいことを一生懸命語っていても、全然伝わってないことってありますよね。また、発達障害者同士でも、このようなズレが往々にしてあるように感じます。

グラフィック・ファシリテーションがそのズレを解消する一つの方法として認知されれば嬉しいですね♪

「私たちはお互い真逆の夫婦なんです」とショウタさんは語る。発達障害にはできることとできないことの差が激しいという特徴があるが、お互い真逆なおかげで、苦手な面を補い合って生活できているという。 (中略) 
入籍する前、半年間ほど同棲をして、お互い何が得意で何が苦手なのかを見る機会を作りました。そしてお互い得意・不得意をよく知ったうえで、今は暮らしています。 (中略) 
もちろんふたりとも共通して苦手なことはあります。片付けに関してはふたりとも苦手ですが、僕は体調を崩しちゃうくらい苦手なんですよ。そこは、程度を見てどちらがやるか決めています。
(66ページ)
⇒☆まずはお互いの得意・不得意をよく知る。そして苦手な面を補い合う。素敵な共同生活♪また、ふたりとも共通して苦手なことは、思い切って他の人に頼んだり外注したりしていくことも、持続可能な共同生活を送る上で大切かもと感じました。

今回の取材は「口下手なので、あらかじめ話す内容をまとめてきました」と、アユミさんはA4用紙10枚にも上る「自分史」を書いてきてくれた。 
その様子をショウタさんは「当事者自身が自分の障害を正しく理解することは重要。妻はすごいと思う。自分で理解することが周りに理解してもらう近道なのでは」と語っていた。
(70ページ)
⇒☆「自分史」を書けるということがまずすごいですよね!そしてそのことを素直に「すごい」と賞賛できるショウタさんも素晴らしいと思います♪

『必要なものだけ買いなさい』と言われても、私には全部必要なものに思えるんです。優先順位があいまいなんでしょうね。
(74ページ)
⇒☆衝動買いとか片付けができないというのも、「優先順位があいまい」という特性を抱えている人に多いのかもしれないですね。

ADHDの人はその衝動性からニコチンやアルコール、ギャンブルや性といった依存症に陥る確率が定型発達の人の2倍という研究結果が出ている。
(74ページ)
⇒☆このデータ自体がもっと多くの人に広まればと思いました。依存症に陥ったことを「自分の意志が弱いから」というように、必要以上に自分を責めることも、このデータを知ることで少なくなると感じます。

ADHDの特性のひとつである『ポップコーン現象』というものだと医師が言っていたのですが、頭を中でポップコーンが弾けるように、様々な考えが浮かんでいくんです。
(87ページ)
⇒☆いわゆる「脳内多動」という、ADHDの人によく見られる現象かも。それにしても、キャッチーなネーミングですね♪

自助会が合わないと感じた人や、発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集えたらいいなと。
(125ページ)
⇒☆「発達障害に限らず生きづらさを感じている人が気軽に集える」のが発達障害BAR The BRATsだとしたら、「生きづらさを感じている人を含めた様々人が対話するために集える」のがOne day cafe.kyotoなのかもしれないなと思いました。

僕は「発達障害の自分はマイノリティだ」という意識がすごく苦手です。「私はマイノリティだから」、自らを社会から隔離してしまっているような。 
そういう側面が、このマイノリティという概念をブラックボックス化しているように感じるからです。 
マイノリティに見られるように自らパフォーマティブに振る舞うことで、二重の共犯関係が生まれているのではないでしょうか。
(129ページ)
⇒☆「自分はマイノリティかどうか」ではなく、「相手も私も違う一人の人間である」という多様性の観点から始めていくことが大切かもと思いました。

ちょっと言葉遊びになってしまいますが、体験と経験をきちんと区分けすることは重要かなと。体験を自分のなかに組み込まないと経験にならないと思うんです。 
だから、体験だけを積み重ねている人は成長しないと思います。体験をいかに経験にするか、です。 
自分のなかに体験を入れていって、言語化していくなかで他人との共通点を見つけられる状態が経験だからね。
(142ページ)
⇒☆何かを体験した後にその体験を自分自身の中でRethinkする、もしくは他の人と語る。そこで得られた気づきを言語化していくことで体験を経験にできるんじゃないかなと思いました。

そういう意味で、One day cafe.kyotoでの「対話の場」は、「体験を経験にする」ステージの一つかもしれませんね♪

僕のなかでは社会が受け皿を作るというより、もっと主体的に「自分の特性はこうだ」と示して、自分で作っていくものかなと思う。 
そのなかで受け入れられるためには「お互いこういう努力をしましょう」と交渉をしますし、その上で相手が望むパフォーマンス以上のものを提示すれば、リターンは確実に来ますから。 
そうやって自分の場所を僕は守っているつもりです。
(144ページ)
⇒☆社会に受け皿を要求するのではなく、まずは自分で作っていく。そしてできれば他の人と一緒に作り上げること、その作り上げる過程を一緒に愉しむということができたら素敵ですね♪

今、定型発達の人は「君たちは扱いづらい」、発達障害人は「もっと配慮して」と言う、お互いにドッジボールをしているんですよね
(146ページ)
⇒☆この「お互いにドッジボールしている」っていう指摘、すごく納得しました。少なくともOne day cafe.kyotoでは、定型発達・発達障害を問わず多くの人が、ドッジボールではなく、「キャッチボール」を対話を通じて愉しんでほしいですね♪

バーの名前である「BRATs」ってそういう意味も含めています。直訳すると「悪ガキ」ですが、それを自分たちで名乗るところに意味を見出しています。 
「お前たち悪ガキだろ?」と言われたとき「いや、違うよ。障害なんだよ」と言ったら攻撃なんです。だから、こちらは度量を見せて「うん、悪ガキだよ!」って言いたいです。 
やっと中二病を出した(笑)
(147ページ)
⇒☆この「悪ガキなんだよ!」って自ら名乗ること、そしてそれを愉しむ度量と余裕!この感覚、素敵♪

セックス依存症は女性に多い病です。特に薬物依存症や性虐待を生き延びた女性に多く見られ、不特定多数の異性と関係を持つこと自体が、彼女らに一時的な心の安定をもたらします。 
心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷への対処行動として彼女らは、その行動を繰り返し、やめられないのです。(『男が痴漢になる理由』p.47)
153ページ)
⇒☆セックス依存症は女性に多い病であること、そして心理的苦痛や不安を解消するため、または心的外傷の対処行動として繰り返して止められないということをもっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。

定型発達の人と比べると、当事者のほうが性について話したい人と話したくない人の差が激しい傾向にあります。当事者のなかでも、もっと性について語れる場を増やしていきたいです。 
性って本来すごく大事なことに全然話せていない。『それならば、性について話したい人だけが集まればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、そうなると今度はその人たち同士でどういう距離感で話せばいいかという問題が生まれます。(中略) 
自助会のようなクローズドな場はたくさんある一方、オープンな場は発達障害バーくらいしかありません。だから、自助会でもなく饒舌な交流会の場でもなく『自助会以上、居場所未満』の中間層を今後作っていきたいです。 
発達障害の人に向けて、性の悩みや性被害を少しでもなくしていけたらと思います。
(156ページ)
⇒☆この「自助会以上、居場所未満」という中間層が、今エデン大阪やエデン京都などを中心に徐々に増えてきていますね。

ハーバード大学を卒業された『ポジティブ心理学』の第一人者ジョン・エイカー氏が、スーパープレゼンテーションで『就職(成功)したら幸せになる時代ではない。幸せになったら成功できる時代だ」と言っていました。 
幸せに感じたところから自己受容が起こり、自己肯定感が高まって、自己開示につながり。そして相手のために自己表現をすることで他者と繋がっていくので、結果的に"就労"という形になるんです。 
自己受容がはじまる前段階で、無理やり就職をしても長続きすることはかなり難しいと感じています。
(192ページ)
⇒☆「自己受容がはじまる前段階」。これはセルフアドボカシーが重要ということを言っているような気がしました。

2018年10月22日月曜日

2018年10月のOne day cafe.kyoto開催レポート



皆さん、愉しんでますか~?
10/21に開催した、One day cafe.kyoto(第23回)の開催報告です。
凸凹フューチャーセンターの共同代表のトシヤが報告いたします。

7月以来、久々の開催となったOne day cafe.kyoto。
場所は去年(2017年)の前半にお借りしていた呉竹文化センター。

チェックインでチャレンジや求めるヘルプを話すことで安心して開場


開場の前にいつも、スタッフでチェックインをするのですが、今回は、早めに会場入りされていた参加者の方も数名入っていただいてのチェックイン。

  • 今の気持ち
  • 今日チャレンジしたいこと
  • ヘルプしてもらいたいこと

などを話すことで、チェックインをした人全員が、安心して開場を迎えることができました♪

今回の試みとして、普段1人のファシリテーターが担当していた、導入の部分を他の人が分担することを試みました。具体的には、「One day cafe.kyotoとは?」という趣旨説明にトシヤが、アイスブレイクにどらえもんさんがチャレンジ。

トシヤは柄にもなく(?)、緊張して硬い趣旨説明になってしまったのですが、でむさんがしっかりとフォローしてくれました。
でむさん、フォローありがとうございます~。

ゲストトーク


今回のゲストは、就労移行支援事業所に勤務されているみかさん。
グラフィックはでむさんが担当。



「一個人としていろんな方々が一緒に働いていく・生活をしていくためにどんなことが自分にできるんだろう」と模索中ということで、これまでのご自身のことを振り返りながらお話をしてくださいました。

「緊張すると早口になってしまいます…」と心配されていたみかさんでしたが、実に聞き取りやすい語り口で、スライドも見やすい構成になっていました~。
みかさん、素敵なゲストトークをありがとうございました!

発達障害当事者会フォーラムin広島の報告


みかさんのゲストトークに続いて、10月7日に開催された「発達障害当事者会フォーラムin広島」についての報告。グラフィックはみーにゃんが担当し、フォーラムでグラファシをしてきたでむさんが報告する予定でした。

ところが、嬉しいことに、第2部のパネルディスカッションで登壇された「広島県福山市の大人の発達凸凹当事者会 ついんくる」代表のよつばとさんが参加されていたので、急遽よつばとさんにもフォーラムの様子を語っていただきました♪



よつばとさん、急な申し出にも関わらず、お引き受けくださり、本当にありがとうございました~

対話の場(OST)


休憩を挟んで対話(OST)の時間。
みかさんのゲストトークに触発されて出てきたと思われるテーマなどが飛び出し、どこのテーブルも白熱した対話が展開されていました。


謝辞


今回のOne day cafe.kyotoは、初めての方や久々に参加された方が多いなという印象でした。中には、大阪と京都で実施した、メンバー募集説明会に来てくださった方も参加してくださっていました。

参加してくださいました方々、ゲストのみかさん、当事者会フォーラムin広島の報告をでむさんと一緒にしてくださったよつばとさんに改めてお礼申し上げます。

2018年10月15日月曜日

大阪と京都でメンバー募集説明会を開催しました



皆さん、愉しんでますか~?
9月と10月に開催した、「メンバー募集(^^♪説明会 凸凹フューチャーセンター」の開催レポートになります。凸凹フューチャーセンターのトシヤが報告いたします。

平日夜は大阪で、土曜の夕方は京都でメンバー募集説明会を開催


説明会@大阪は、9/20(木)の夜に開催。場所は、凸凹フューチャーセンターの「おとん」こと(笑)、谷さんのご厚意で、素敵なスペースを貸していただけました♪
おとん、ありがとうございました♪

説明会@京都・淀は、10/13(土)の夕方、ヨドラダファミリアでの開催となりました。

2年間活動してきた中で気づいた「学びのサイクル」


大阪、京都・淀の両方において、私たちが約2年活動をしてきた中で気づいた「学びのサイクル」というものを紹介しました。


    1. 自分を大切にする
    2. 参加する
    3. 場をつくる(イベントを作っていく)
    4. 共創する(コミュニティをつくっていく)

そして、@大阪では、上記の4点(4つのゾーン)の中で、「自分が得意なゾーン」・「自分が苦手としているゾーン」について対話する時間を設けました。

また、@京都・淀では、One day cafe.kyotoの後半で行っている、対話の場(Open Space Technology;OST)をプチ体験してもらう企画も実施しました。

自分たちの活動をわかりやすく伝えることの重要性と難しさを痛感


初の試みで実施した説明会。自分たちの普段の活動をわかりやすく伝えること、言語化する重要性と難しさを改めて実感しました。至らない点もたくさんあったと思いますが、一緒に時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。

「説明会に参加して、もっと知りたくなった」、「一度、活動の場を覗いてみたい」と感じた方は、気軽に10/21(土)のOne day cafe.kyotoにご参加いただければ嬉しいです。

One day cafe. kyoto ~発達凸凹の ? について語るcafe#22~
こくちーずの申し込みページはこちら
皆さんにお会いできるのを愉しみにしてますね♪

2018年10月8日月曜日

でむさんが発達障害当事者会フォーラム2018in 広島にグラファシで参戦!

「発達障害当事者会フォーラム2018in 広島」が広島で開催されました。

前回の大阪開催、東京タワーでの自閉症啓発デイに引き続き、凸凹フューチャーセンター共同代表のSayo Suzukiがグラフィックファシリテーションで駆けつけてきました!

発達凸凹当事者だけでなく、発達障害支援センターの方や、教員のみなさん、公明党参議院議員 山本ひろし議員なども駆けつけておられ、厚生労働省が後援する100人近い参加者が集まる場となりました。

主催してくださった 発達障害当事者協会のみなさん、東京や全国から駆けつけて場をつくってくださったみなさんありがとうございました。



第1部は、公益財団法人慈圭会精神医科研究所の青木先生による特別講演でした。

「当事者と支援者に大きな違いはないのでは。"ぼくらの中の発達障害"に誰もが気づくことから…」

「人はみんなグレーゾーンに生きている。支援とは、程度の低い(薄い)人が高い(濃い)人をたすけるものであって、やがて助けられる人が助ける人になっていく。相互扶助」

「表裏のない発達障害当事者にみんな救われているんじゃないか」

「通訳・解説する人の重要性」

といったお話に、会場からもうなずきや気づきの声が聞こえてきました。



第2部では、発達障害当事者会(発達凸凹本人が主体となって運営しているコミュニティ)の代表9名がパネルディスカッションを行いました。

当事者会だからできること、発達障害支援センターだからこそできることを改めて話す場となりました。

発達障害当事者会は一人ひとりが自ら課題を見つけていく場所だという声もある一方で、どんな意味がある場所なのか説明する難しさも挙げられました。

発達障害だから。と開き直るのではなく、主体的に自ら居場所をつくっていこうとする当事者の声に、参加者として訪れた支援者の方々が当事者と社会や定型発達の方をつなぐ難しさに触れるなど、私たちごととしての対話が生まれていました。


ぜひ、詳細はグラフィックをご覧ください!
Coming soon


2018年10月7日日曜日

【発達凸凹 Book#36】 『事例で学ぶ発達障害者のセルフアドボカシー』




発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。

でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『事例で学ぶ発達障害者のセルフアドボカシー
片岡美華・小島道生=編著/金子書房

本書は、発達障害者の「セルフアドボカシー(自己権利擁護)」を学ぶための入門書になります。セルフアドボカシーは、2016年度から施行された障害者差別解消法によって注目されるようになりました。

合理的配慮とセルフアドボカシーとの関係


この法律は、合理的配慮の提供について規定していますが、合理的配慮を得る際には、当事者からの「意思の表明」があったときとされています。

当事者が「バリアがあるから取り払って!」と声を上げることで、「自分に合った支援」が検討され、支援獲得へとつながっていきます。

発達障害の当事者が自己理解と提唱の力をつける方法を紹介


「自分に合った支援」を獲得する際に、自分のことを理解し(自己理解)、それを伝えること(提唱)というセルフアドボカシーが重要となってきます。

この自己理解と提唱は、発達とともに獲得され、また教育することで補強されていきます。

以上を踏まえ、本書では、青年期を中心とした発達障害の当事者、家族、教員(支援者)に対してセルフアドボカシーを解説し、その力を付けるための方法を紹介しています。

本書は以下のような三部構成になっています。
   第Ⅰ部 セルフアドボカシーの理論
   第Ⅱ部 セルフアドボカシーの支援の実際
   第Ⅲ部 当事者からのメッセージ

書評


編著者は本書を「入門書」と位置づけて、なるべく平易な文章で説明しています。
しかし、第Ⅰ部第3章「セルフアドボカシーと提唱力」は抽象的な記述が多いので、場合によっては読み飛ばすのもアリかなと感じました。

第Ⅱ部「セルフアドボカシーの支援の実際」では、セルフアドボカシーの力を付けるための先進的な取組事例を5例紹介しています。

各事例の末ページの解説で実践のポイントが示されているのは、セルフアドボカシーについて取り組んでいる支援者・教育者にとって有益だなと思いました。

また、セルフアドボカシーは当事者が主体となるべきテーマなので、第Ⅲ部「当事者からのメッセージ」では、当事者自らの体験談や考え方の示唆が述べられているのも本書の素敵なところだと感じました。

セルフアドボカシーを行使する当事者や、それを援助あるいは受け止め支援提供していく支援者が、どのようなことに留意すればいいかを考えていく際の参考になりますね。

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

発したことばを板書に示すなど、見えるように、見返せるようにするのを一つの方法だと思います 。 
ASDの人は、書字で示すと冷静に受け止められることがあります。このことからも話したことば、書きことばを駆使して提唱力を伸ばすとよいでしょう(片岡) 
(55ページ)
⇒☆ASDの人の提唱力アップに、グラフィックレコーディングが有効ということかもですね♪

どのような過程で支援提供が決まるのかを見える形で示したり、ルールづくりをしておいたりすることは重要です。 
また仮に、当初の希望通りに支援提供できないとしても、その理由や、代替案を示さないことには、当事者として納得できるものではありません 
これは、障害者差別解消法による「合意形成」が必要であるというところにあたります。
(57ページ)
⇒☆「合意形成」とは、単に希望通りの支援提供が可能になった祭の合意を指すだけでなく、希望通りの支援提供ができない理由や代替案を提示する際のことも指しているということも多くの人に知ってもらえればと思いました。

なおニュージーランドは、適切に対応した担当者(障害学生支援室の職員ではなく、主に教員)に対して表彰を行うことで、教員のモチベーションをあげる工夫も行っていました。
(58ページ)
⇒☆単に「障害者差別はいけません!」と通達するのではなく、このような表彰を行うことでモチベーションも上がりますし、教員各自が自身の教育・研究活動に合理的配慮をどう盛り込むかを考えるきっかけにもなりそうですね♪

他者にしっかりと自分の思いを伝えることは、信頼関係はもちろんですが、眼前にいるスタッフ(他者)は自分の思いをしっかりと聞いてくれる対等な存在だと意識しなければ成立しないからです。 
これを踏まえると、スタッフ対支援者の前提を自覚しつつも、語り合う「私」と「あなた」という固有名詞の関係に発展させることがSAプログラム(「セルフアドボカシー教育プログラム」;註)においては求められるでしょう。
(75ページ)
⇒☆私たち凸凹フューチャーセンターがOne day cafeで大切にしている、「対等な立場で語る」・「対話する」ということの重要性が指摘されていますね。

まずは、生徒自身が自分自身を語ることで自己理解が始まるように感じました。自己理解を深めるためにも、根気強く関わり、タイミングを逃さずに支援していることが大事だと思います。
(100ページ)
⇒☆当事者自身が安心・安全を感じながら、自分自身のことを語る「ストーリー・テリング」の方法を用いることということかもですね。

(インフォームド・コンセントは;註)6歳までの患者であれば親の同意で代替可能ですが、小学生から中学生ではインフォームド・アセント(同意)、高校生以上では大人同様のインフォームド・コンセント(許可)が求められ、子どもに内緒に、あるいは嘘をついて診療するわけにはいきません。 
子供の発達特性や心理状態、保護者の養育状況に合わせて、病院を受診する目的や治療のゴールを説明し、協働治療者としてタッグを組む必要があります。
(117ページ)
⇒☆ここの部分の記述は、先日の第1回凸凹フォーラムのゲストである小谷裕実先生が担当された、第Ⅱ部実践事例4「医療現場での発達障害のセルフアドボカシーの支援―'わたし'についてのレポートと親子へのインタビューからみえること―」からの引用です。
「協働治療者」という表現が素敵過ぎます♪流石は小谷先生!

差別や偏見については、そのこと自体絶対にしてはいけないもの、ダメなものとして固定的に捉えると、その本質についてそれ以上探ろうとしなくなります。 
むしろ、差別や偏見の心は誰にでもあり、その心が生じたときには、どうしてその思いを抱いたのか向き合って考えること、差別や偏見は、その人のことをよく知らないときに生じるものであり、もっとよく知ろうとすることで、差別や偏見の心はしぼんでいくと捉えことが大切です。 
差別や偏見について、常に考え続けることが、障害の有無にかかわわらず誰もが豊かに生きる社会づくりにつながります。
(124ページ)
⇒☆差別や偏見をタブー視しすぎるのではなく、自分が差別や偏見の思いを持ったときに、その思いを抱いた自分を認め、その背景を考え続けることの意義をもっと広めていきたいなと感じました!

まずは自分たちの当たり前を無意識に押し付けていないか、そのことで困っている人やつらい思いしてる人がいるのではないか、という視点を持つことが大切です。さらには、「障害のある人のために」ではなく、「障害のある人とともに」という意識をもつことも重要です。 
そのためには、地域において、障害について学んだり、障害のある人と一緒に活動したりする機会を設定する必要があると考えます。
(131ページ) 
⇒☆凸凹フューチャーセンターでも、One day cafe.kyoto等の開催を通じて、障害のある人と一緒に活動する機会を多くの参加者の方に経験してもらえたらと思いますし、自分たちもそうような経験をたくさんしていければと思いました~♪

当事者が、周囲の人々とともに考える、伝えあうことが重要になってくるでしょう。これはセルフアドボカシーにつながることであり、周囲の人が障害について認識を深めるためにも欠かせない学習内容と言えます。
(132ページ)
⇒☆当事者だけの場で心の安定が得られたなら、その次には、障害のない人と共に考える、伝えあう場をもっと多くの当事者が愉しんでくれたら素敵だなと感じました♪

私は、私が相談等で関わっている子供たちや当事者(成人)の多くに、「自分プレゼンを作ってみないか」と投げかけています。それは、私が自分自身を他者に理解してもらうのに有効だったからです。 
「私には、こんな特性があります」「こんなエピソードがありました。それは私のこんな感覚から起因したことだと思います」など文章や言葉だけでは伝えづらいことをスライドにするものです。 
こうした「自分プレゼン」を使うことで、見た目には理解されづらい障害でも感覚として納得してもらえたり、お互い歩み寄れたりします。
(143ページ)
私は相談に来てくれる方たちといろいろな話をしながら「自分プレゼン」のネタをご本人の口かきかせてもらっています。 
ただ自己理解という観点で相談に乗るのではなく、一歩踏み出せるようになるような作戦ツールとなるように一緒になって「自分プレゼン」づくりをしています。
(147ページ)
⇒☆自己理解だけでなく、自己プレゼンづくりを通して一歩踏み出せるようになる!実に愉しそうに自分プレゼンづくりをやっていけそうですね♪

セルフアドボカシーのためには主張というスタンスではなく、建設的な対話姿勢で臨んでいくことが重要なのです。
151ページ)
⇒☆今後ますます、対話というプロセスを丁寧に行うことが必要とされていく時代になりそうですね。

オリンピックを目指す選手とパラリンピックを目指す選手が一緒になって練習をしたら、お互いの記録が伸びたというニュースを目にしました。 
これは、お互いが心の部分から歩み寄り、尊重し合い刺激を受け合った成果かもしれません。分ける教育や社会ではこの効果は得られないままだったでしょう。
(158ページ)
⇒☆このように当事者も定型発達の人も心から歩み寄り、尊重し合い刺激を受け合うような場を、みなさんと一緒に愉しく創り上げていきたいと強く思いました~♪

2018年9月18日火曜日

【発達凸凹 Book#35】 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 女性の発達障害』



発達凸凹に関する本は本当にたくさんあって、この本がベスト!ということは言えません。でも、もしかすると一冊の本が、生きづらさを感じている人の扉を開いてくれるかもしれない…という思いを込めて、本をご紹介します。

本の紹介


『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 女性の発達障害』
宮尾益知=監修/河出書房新社

発達障害の女性は、女性特有のさまざまな"生きづらさ"や"ズレ"を抱えている場合があります。特に思春期以降、友人問題や恋愛、就職などのさまざまな問題に直面した時、上手に対応できずに悩み苦しんでいる場合もあると思います。

本書は、そんな発達障害の女性を理解して家庭や職場での対応策や適切なサポートの方法を解説した一冊です。

書評


本書は、発達凸凹Bookとして過去にも紹介した「親子で理解する特性シリーズ」の1つになります。
以下に過去に紹介した書籍を記します。

発達凸凹Book#15 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』


発達凸凹Book#27 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編』

本シリーズは、見開きページ毎にトピックスが完結していることや大きなイラストが多数収録されていることが特徴です。そのため、女性の発達障害について読みやすくて理解しやすい構成となっているのが嬉しいですね♪

また、発達障害の女性特有の"生きづらさ"や"ズレ"に対しての対応策やサポートについて、具体的に書かれているのも重宝しますね♪

引用とコメント


以下は書籍からの引用とコメントになります。
「⇒☆」から始まる箇所が引用に対するコメント文です。

例えば ASD(アスペルガー症候群)には、大きく3つのタイプに分けることができます。 
1●積極奇異型 
知らない人にも平気で話しかけたり、なれなれしく接したりする。 
2●受身型 
自分から積極的に接触を図ろうとしないが、誘われれば付き合うタイプ。女性に多いと言われています。 
3●孤立型 
他人と話したり関わったりすることに苦痛を感じ一人でいることを好む。 
 一般的に子供の時は1のタイプが多く、思春期から大人になるにつれて2や3のタイプに性格が変化していくケースがあります。 
女性の場合は、小学校中学年ぐらいから2や3のタイプに性格が変化していくケースが多いと言われています。 
(10ページ)
(ASDの;註)女性の場合は、思春期前後になると空気が読めず周囲に馴染めなかったり孤立してしまうことがあります。 
(23ページ)
⇒☆女性の場合、思春期の前後に周囲に馴染めなかったり孤立しまうことが、その後の生きづらさにも直結しやすくなるのかも知れませんね。

ADHDは、男性より女性に多い発達障害ともいわれていますが、その理由はまだわかっていません。 
(25ページ)
⇒☆「ADHDは男性よりも女性に多い」という理由がまだわかっていないのは、本当に興味深いです!


いわゆるガールズトークですが、不十分な説明と言葉と非言語コミュニケーションが時と場所を選ばず行われていくということですが。発達障害の女性には、最も苦手なことだと思います。 
私も以前、女性会SSTを企画しましたが、内容を聞いて、会話の移り変わりの激しさに諦めてしまいました。 
(29ページ)
人の話を聞く姿勢、相づちの打ち方、皆に有用な情報など引き出しをいくつか用意しておいて使ってみる努力をしつつ、一人でも良いと思う気持ちを持つようにした方が良いと思います。 
そのような気持ちの持ち主が複数いると、人間関係の悩みを半減するはずです。 
(29ページ)
⇒☆一人でも良いし、「何が何でもみんなと仲良くしなきゃならない」という思い込みから解放されることで、楽になることが多いと思われますね。


大学では、多くの学生が5月頃に第一の危機が訪れます。何もかもうまくいかなくなって、どうしたら良いかわからなくなります。 
まだ本当に相談する人はいませんし、「どれくらい」といった適当という言葉もわかりません。 
そういう時は、思い切って休んでみましょう。引きこもり、どこかに出かける。期間は2週間程度が適切です。罪悪感は持たず、あたり前のようにこの時間を取ることで、その後の大変な状況を免れることはできます。 
(30ページ)
⇒☆期間を限定して罪悪感を持たずに引きこもる「積極的引きこもり」。確かに有効かもですね♪
(アスペルガー症候群の;註)女性の場合は幼児期にほとんど特性を目立たず、10歳前後になってきて、他人との「ズレ」を感じはじめることが多いようです。 
(32ページ)
(アスペルガー症候群の中;註)男の子の場合、「積極奇異型」といって特性が問題行動に現れるケースが多いということもあります。 
それに対して女の子は、自分から行動を起こすより人に指示された通りに行動したり、言われたことを素直に信じてしまう「受動型」が多いという面もあるようです。 
(33ページ)
⇒☆女性のアスペルガー症候群特有の、「ズレ」の出現や「受動型の多さ」のことに対する認知度がもっと上がれて周囲のサポートを受けやすくなると思います。
(孤立してしまうことへの;註)サポートと対応法 アスペルガー症候群の女性に対しては、特性を理解してあげることがサポートの基本です。 
 交友関係 
1.社会性の問題からグループ意識と仲間との関係性を結びにくい面があります。無理に友達と遊ばなくてもいい、ということを説明します 
2.無理に友達はつくらず理解してくれる友だちを一人でも見つけてあげるようにしましょう。 
3.一人でも好きな趣味などあれば、認めてあげることで落ち着いてくる場合があります。 
 会話 
1.「今日はどうする?」→「調べたいものがあるから図書館へ行こう」というように、あいまいな表現ではなく。理由を付け加えて具体的に何をするか話す 
2.冗談や言葉の裏を読めないこともあるので、はっきり理解できる言葉を使う 
3.相手の言うことを聞かず一方的に話す場合は、話をさえぎらず、聞いてあげる姿勢も必要です。 
周囲が理解する 
アスペルガー症候群の女性は、相手が怒っているのか笑っているのか表情が読めない場合もあります。強い口調は、すべて怒っているように理解してしまいます・特性を説明して、周囲に理解してもらうことが重要です。 
(35ページ)
(アスペルガー症候群の女性が;註)自分に合った医療機関を探すポイントは二つあります。一つは発達障害に詳しいこと。そして体調不良を治療してくれるかということです。 
アスペルガー症候群の女性は、男性よりも体調不良になりやすいという特徴があり、この二つを兼ね備えている医療機関を選ぶと安心です。 
(40ページ)
コミュニケーションで失敗して大きなストレスを抱えている人は、ペットを飼うことでリラックスできる人もいます。ペットを相手に話すことを日課にすることでホッとする人は多いようです。 
  • 犬や猫に限らず、金魚や亀など飼いやすいペットを選ぶ 
  • ペットに話すことでコミュニケーション不足が補える 
  • ペット仲間と共通の話題ができ、新たな友達ができることもある 
(43ページ)
ADHDの女性は、特性による行動に強いコンプレックスを感じて、自分の周りの女性や世間が求める理想の女性を目指して必要以上に頑張ってしまう場合があります。 
(中略)大事なことは自分にとって精神的な重荷にならない生き方や暮らし方とは何かを考え、見つけることです。 
完ぺきを目指して失敗を重ねるより「失敗してもいい」「多少いい加減でもいい」と自分を許して楽になりましょう。 
(68ページ)
⇒☆小さな失敗をたくさん経験できる場を作っていくことがますます求められるなと感じました。
(手前味噌ですが、)コミュニケーションといった対人場面での小さな失敗は、One day cafe.kyotoでたくさん経験し、それと同時に小さな失敗を自分も周囲の人も受け止める機会を持ってもらえれば♪

「恥ずかしいこと」とは何かを説明することも必要ですが、社会的なルールとしてこのような行動はしてはいけない、ということを明確に教えてあげる必要があります。 
間違いを指摘したり、ただ恥ずかしいことを伝えたりではなく、具体的にどう行動すればよいのかを示すことがサポートにつながります。 
(74ページ)
⇒☆アスペルガー症候群に対してはルールとして教える、もしくはそれを文章化して伝える方がより伝わる気がします。

2018年8月28日火曜日

第1回凸凹フォーラムの開催レポートと舞台裏のご紹介(その2)

(写真提供:Yasuさん)

8/25に同志社大学烏丸キャンパスにて、第1回凸凹フォーラムを開催しました。トシヤが凸凹フォーラムの開催報告と舞台裏の暴露(笑)をしていきます。
今回は第2弾の投稿。第一弾の投稿はこちら

10個ものテーマの対話に寄り添ってグラファシしてくれたグラフィックチームに感謝


凸凹フォーラムの後半は、オープンスペーステクノロジー(Open Space Technology;OST)。
OST全体のファシリテーションは、そうさんにお願いしました。

(写真提供:Yasuさん)

前半の関根先生のキークエスチョンや小谷先生・藤本さんのゲストトークに、参加者の方々は多くの刺激を受けたようで、10個(!)ものテーマが持ち寄られました


それぞれのテーマについて、模造紙を囲んでの対話。
各テーマには、グラフィックチームのメンバーが寄り添い、グラファシに奔走してくれました~。

OSTの締めくくりはギャラリーウォーク


OSTの最後に、各テーマごとにどういった対話がなされたのかをシェアするために、参加者が複数でペアになって、グラフィックの周囲をギャラリーウォーク。

(写真提供:Yasuさん)

謝辞


後半のOSTでは、全体のファシリテーションを努めてくださったそうさんや、各テーマの対話に真摯に寄り添ってくれた、グラフィックチームのメンバーに本当にお世話になりました。ありがとうございました!